スピルリナ研究

なぜスピルリナ?

”フィコシアニン”はスピルリナの独特の成分です。

スピルリナは約60もの栄養と成分を身体に供給できることが優れているのではなくフィコシアニンを含むことがさらに注目されるべきです。

すでにスピルリナ自体は数多くの有用性が検証され、その論文が公開されています。その上、フィコシアニンを主体とした研究も重ねて行われており、ここにスピルリナの本質がうかがえます。

フィコシアニンはスピルリナ(乾燥原末)に4~7%含まれているほかは紅藻類のアサクサノリにわずかに含まれている程度ですから他の食品から摂取することはできません。フィコシアニンを含むスピルリナは、血色素の増産や血中脂質の改善等による血液に及ぼす影響、あるいは有害な物質の排除、肝保護、アレルギー抑制作用など、これほど多くのデトックス(de・toxication)効果が確認されている素材を他に見ることはありません。

”良い成分”を取り込むとと共に”悪い物質”を除去することを同時に行えば健康に与える効果は相加すると言うより相乗的と言っても良いかもしれません。

その意味でスピルリナは十分な食経験(安全性)とともに完成された健康補助食品の一つと言えるでしょう。

色素スピルリナの錠剤を、水を入れたコップの中に浸しておくとやがて青い色素が溶け出てきます。クロレラはその様な現象は見られません。クロレラにはフィコシアニンと呼ばれる青い色素が存在しないからです。

また、スピルリナは細胞膜が薄く弱いため(クロレラと比べ消化性が良いのはこのためです)に膜を通して色素が出易くなっていることも理由の一つです。

スピルリナには主要な3つの色素が含まれています。他の2つは黄色色素であるβ-カロテン、緑色色素であるクロロフィルで、これらはクロレラにも含まれています。スピルリナ特有のフィコシアニン( Phycocyanin )は、フィコシアノビリンと呼ばれる部分とタンパクが結合した構造をしており、フィコシアノビリンは胆汁色素ビリルビンの化学構造にきわめて類似しています。

構造フィコシアニンの構造中、中央→のH原子をフリーラジカル(「活性酸素と抗参加物質」参照)に与えることにより、スカベンジャー(抗参加物質をもつ物質の総称)としての役割をします。フィコシアニンはスピルリナ等の藍藻類特有の色素ですが、紅藻一部アサクサノリにもみられます。

これまで国内外の研究から、次の様な抗酸化作用、抗炎症作用、細胞及び肝臓の保護作用、免疫機能の増強作用など、健康に関する様々な報告がされています。


試験

スピルリナのデトックス(de・toxication)作用

緑色の符号はスピルリナ、青色の符号はフィコシアニンを試験品として行った研究試料です。

肝保護・解毒効果 ・肝炎に対する摂取効果(埼玉医大) ①
・血清LDLコレステロール、中性脂肪の低下作用(埼玉医大、女子栄養短大、東海大)②③④
・抗がん剤の副作用発現阻止(日本医事新報) ⑤
・肝症外性物質・四塩化炭素を使用した肝保護効果試験(Biochem.&Biophy.R Comunications.1998) ⑥
・エタノール代謝に及ぼす影響 ⑦
毒性物質排除効果 ・腎毒性物質(無機水銀、制ガン性:シスプラチン、P-アミフェノール)による腎障害抑制効果(千葉大) ⑧
・チェルノブイリ原発事故による放射能排泄効果(For Immediate Release June1991) ⑨
・ダイオキシン排泄効果(福岡県保健環境研究所) ⑩
腸をきれいに ・ラット腸内の乳酸菌増殖促進効果(千葉県立衛生短大) ⑪
アレルギー反応の抑制 ・Compound48/80による皮膚炎発症の抑制(Remirez et al.,2002) ⑫
・アラキドン酸による耳浮腫炎症抑制効果(C.Romay et al.1998,1999) ⑬
・酢酸による大腸炎に対する抗炎症効果(R,Gonzalez;et al.,1999) ⑭
・卵白アルブミンによるアレルギー炎症抑制効果(Remirez et al.,2002) ⑮
・ザイモサン発症関節炎に及ぼす抑制効果 ⑯

① 肝炎

-埼玉医科大学 竹内瑞弥

肝炎患者にはA型肝炎4名、B型2名の計6名を対象にスピルリナを投与した。一日21錠を3回に分け内服。栄養士による食事指導も併行し、医薬品は全く使用しなかった。スピルリナ投与により各症例とも肝機能は改善され、いずれも完治、あるいはほぼ正常範囲となっている。とくに全症例で血清コレステロール値180~220㎎/dlに近づいているのが特徴である。急性肝炎におけるGOT、GPTはいずれも二週間後より回復し、6週間後にはいずれも正常値となっている。

② 血清コレステロール及び中性脂肪の改善

-埼玉医大公衆衛生学教室

ラットに高コレステロール食の給餌と共にスピルリナを摂取させると、血清総コレステロール、低比重(LDL)および調低比重コレステロール、およびリン脂質の上昇を著明に抑制し、さらに高比重(HDL)コレステロール値を著明に上昇せしめる効果がある。

従ってスピルリナには、動脈硬化症疾患の予防効果が期待できる。
高脂肪・高コレステロール食摂取により発現した脂肪肝は、スピルリナ投与により著明に治療が促進され、スピルリナに脂質代謝に好影響を及ぼす効果がある。

3週間各A~D食で飼育後の総コレステロール値(T-Ch)とHDL-コレステロール値(HDL-Ch)の比較。

T-Ch HDL-Ch
A 48.8±7.6 26.0±1.5
B 484.5±22.1 10.2±1.9
C 55.2±2.5 31.4±1.3
D 193.1±20.0 22.3±1.7

3週間後B食飼育後4週間目から各A~D食に切り換えた時の総コレステロール値とHDL-コレステロール値の比較。

T-Ch HDL-Ch
A-A 37.4±1.2 37.4±1.2
B-A 43.8±2.3 34.8±1.2
B-B 267.0±52.9 17.7±2.2
B-C 55.3±2.0 44.0±2.4
B-D 131.1±21.2 26.9±2.9

- 3週間B食によって発生した脂肪肝の変化-
B-A、B-C … 肝細胞浸潤も少なく細胞B-AよりもB-Cの方が鮮明であった。
B-B… 肝実質細胞内に脂肪は異常に蓄積し脂肪変性が強く灰白黄色を呈し腫大し壊死巣も多い。大小種々の脂肪滴を含んでいる。
B-D… 細胞浸潤や壊死巣が残るが脂肪変性の多くは回復。

③ラットに高フラクトース(果糖)食を摂取させると血漿中の脂質が増してくるがスピルリナ投与により上昇が抑制される。

— 女子栄養短大栄養学研究室

総コレステロール 中性脂肪 リン脂質
高果糖食(HF) 115mg/dl 200 182
HF+5%SP 79 160 140
HF+10%SP 77 155 136
HF+15%SP 78 123 133

SP:Spirulina

④ 人の高脂血症、高血圧症改善効果

-東海大学第一内科

高脂血症及び高血圧症を有する30名を15名ずつに分けA群にはスピルリナを一日4.2gを8週間、B群には4週間投与した。総コレステロール(T-Ch)、LDLコレステロール(LDL-Ch)は有意に低下し、4週で中止した群は再び上昇した。動脈硬化指数も有意に改善した。

動脈硬化指数:(総コレステロール-HDLコレステロール)/HDLコレステロール

血清コレステロール(mg/dl)

投与前 4週 8週
T-Ch A 243.5±25.6 232.7±35.7* 234.5±33.1*
B 248.4±20.5 241.8±16.5 247.5±23.1
T-Ch A 160.9±24.1 151.2±32.0 154.1±30.7
B 156.5±19.0 148.6±14.4 161.0±23.0*
動脈硬化指数 A 4.4±1.3 4.0±1.3** 4.0±1.5*
B 3.3±1.0 3.3±1.2 3.5±1.2*

・色付部分はスピルリナ投与期間
・HDLコレステロール中性脂肪には急な変化なし
・*P<0.05
・**<0.01:有意な変化あり

血圧(mmHG)

投与前 4週 8週
収縮期 A 143±8 141±5 139±9
B 138±8 138±8 140±6
拡張期 A 96±5 96±5 91±5**
B 97±3 92±6* 92±4

拡張期血圧を下げる傾向にある

⑤ 抗ガン剤等の薬物による副作用発現の軽減

-日本医事新報№3599

急逝骨髄性白血病と診断された64歳男性

平成1年12月制癌剤投与により、幻覚、幻視、黄疸、出血性素因も出現し顔貌も異様に変化、死線をさ迷う状態となった。

3月下旬よりスピルリナ訳4gを飲み始め約1ヵ月後の退院時には、一時かなり強い黄疸を伴い急性肝炎→肝硬変も疑われたとは思えない程改善した。「不思議なくらい肝機能が回復している」と担当医も述べている。その後平成3年5月まで2クールの制癌剤投与でも肝機能、腎機能には殆ど障害が見られなかった。

⑥ フィコシアニンによる肝機能保護:ラット肝中毒の保護効果

-Bhat.B.Vadiraja,Nielsh W.Gaikwad and K.M.Madyastha
Biochemical and Biophysical Research communications,249(1998)428-431

肝臓機能に障害を与える物質として知られる四塩化炭素やR-(+)-Pulegoneをラットに与え、フィコシアニンの肝機能保護効果を調べた。

フィコシアニンによる肝機能の保護
フィコシアニンによる肝機能の保護

肝臓の障害程度では、肝臓内で重要な働きをしている酵素(G-6-Phosphatase)の活性を測定することで測られる。

フィコシアニンを事前に投与した群では酵素活性値が、有害な物質のみを与えたときほど減少しないことが示された。(グラフ:右側2つ)このことは、フィコシアニンによって肝機能が保護されたことが示されている。

フィコシアニンや有害物質を与えていない比較群を基準にすると、障害ラットの酵素活性は大きく損なわれている。(グラフ:中央2つ)

有害な物質をラットに与える前に、スピルリナから抽出したフィコシアニンを与えると有害物質から肝臓が保護されることが示された。

⑦ ラットのエタノール代謝に及ぼすスピルリナの影響

- 東京女子医科大学 日本栄養・食糧学会誌 Vol.47 No.5

スピルリナのエタノール代謝に及ぼす影響について検討するため7もしくは10日の予備飼育(基本食で飼育)後、28日間基本食および20%スピルリナ含有食を与えたラットの腹腔内にエタノールを投与後、エタノールおよびその代謝物(アセトアルデヒドと酢酸)の血中および肝臓中濃度を測定した。

また肝のアルコール脱水酵素(alcohol dehydrogenase=ADH)およびアルデヒド脱水酵素(aldehyde dehydrogenase=ALDH)の活性測定のためWistar系ラットを7日間の基本食飼育後、基本食餌摂取群、基本食+10%エタノール摂取群、20%スピルリナ摂取群、20%スピルリナ+10%エタノール摂取群の4群にわけ21日間飼育後測定した。

【実験結果】

1. 血中および肝エタノール濃度とその代謝物に対する影響

2回(AおよびB)の実験を行いスピルリナ食餌摂取群は基本食摂取群と比較し血中および肝エタノール濃度が低値を示し特に実験Aでは両群間の血中(p<0.01)および肝中(p<0.02)濃度で有意差を認めた。血中のアセトアルデヒド濃度はスピルリナ含有食餌摂取群が低値であった。

エタノール代謝産物に対するスピルリナの影

食餌 注射 血中濃度 肝臓ホモジネード中濃度
スピルリナ
(20%)
エタノール エタノール
(mM)
アセトアルデヒド
(μg)
酢酸(mM) エタノール
(mM
アセトアルデヒド
(μg)
酢酸(mM)
実験A + + 24.4±10.9 (-) 1.29±0.34 1.72±1.03 (-) 0.21±0.07
+ 55.4±9.66 (-) 1.29±0.66 6.16±1.38 (-) 0.25±0.09
実験B + + 57.4±7.36 15.00±7.78 0.88±0.12 5.70±1.83 20.02±4.81 0.23±0.18
+ 77.7±19.5 23.2±4.5 1.18±0.34 7.18±2.29 17.03±12.54 0.30±0.13

2. 肝臓およびALHD活性

スピルリナ摂取によってADHのエタノールに対するKmは変わらなかったがALHDのアセトアルデヒドに対するKmは低下(0.7mM)し、スピルリナによりエタノール代謝が促進することが示された。

スピルリナ摂取ラットの肝酵素活性

食餌 飲料 ADH活性 ALDH活性
km(mM) km(mM) Vmax(μU/mg)
基本食 0.13±0.02 1.11±0.33 14.47±4.42
エタノール 0.15±0.02 0.91±0.34 13.45±3.24
スピルリナ 0.16±0.02 0.67±0.18 11.69±2.65
エタノール 0.16±0.01 0.70±0.11 9.86±2.70

⑧ 腎毒性物質(無機水銀、制ガン剤:シスプラチン、P-アミノフェノール)による腎障害抑制効果

-千葉大学 薬学部

ラットにスピルナの水溶性画分とともに標記薬物を投与したところ血清尿素窒素、クレアチニン濃度の上昇を抑え、組織障害によって起こる尿細管酵素の逸脱が抑制された。

また、腎臓中のシスプラチン中の白金量はスピルリナ無投与ラットより低く腎毒性金属の組織取り込みも阻止していることが分かった。

⑩ ダイオキシンの排泄効果

ダイオキシンとは一般ごみや産業廃棄物を燃やしたときに発生する有機塩素化合物の一種で、免疫不全や肝臓障害、生殖障害を引き起す物質。ラットにダイオキシン及び20%スピルリナ添加食を与えた結果、体内に入ったダイオキシンを糞便として体外へ排出するのを促進し、肝臓に蓄積するのを抑制した。食物繊維や葉緑素が小腸を通るときにダイオキシンを吸いつけるためと考えられる。(衛生化学 42-47(1997))

ダイオキシンの排泄効果

⑪ ラットの腸内における乳酸菌増殖促進効果

-千葉県立衛生短期大学栄養学・食品学教室

普通食に対しスピルリナ混合飼料を約100日の投与によって盲腸内のビタミンB1量の増加、ラクトバチルス属乳酸菌の菌数増加が認められた。

(μg)

  対照群 スピルリナ群
V.B1量/g内容物 5.88±1.29 8.39±4.60
V.B2量/g内容物 18.21±4.56 18.78±14.58
  対照群 スピルリナ群 スピルリナ群/対照群
Bifidobacterium
×10の9乗/g盲腸
×10の9乗/g全盲腸
3.00±1.22
6.43±3.79
3.50±1.81
8.06±4.90
1.16
1.25
Lactobacillus
×10の9乗/g盲腸
×10の9乗/g全盲腸
3.96±2.68
7.76±4.55
12.96±4.82
27.19±7.79
3.27
3.50

⑫ Compound48/80によるアレルギー性皮膚炎の抑制効果

-Remirez et al.,2002

皮膚炎を発症する物質として知られるCompound 48/80をラットに投与する1時間前に、コントロールとして食塩水を一方にはフィコシアニンを事前に注射した。

共にCompound48/80に対して炎症を引き起したが、フィコシアニンにおいては炎症を阻害する、抗炎症作用が確認された。

  Compound48/80
8μg/g(体重)
阻害[%]
食塩水 0
フィコシアニン
1.0mg/g(体重)
62.7

ヒスタミンあるいはCompound 48/80の皮膚塗布1時間前に抗炎症剤プロメタジンあるいはフィコシアニンを経口投与されたラットではアレルギー性皮膚炎症領域の減少が見られた。

フィコシアニン投与量を多くする程、アレルギー性皮膚炎の領域が小さくなることが示されていた。

ヒスタミンによる皮膚炎症反応に対するフィコシアニンの抑制効果ヒスタミンによる皮膚炎症反応に対するフィコシアニンの抑制効果

Compound 48/80による皮膚炎症反応に対するフィコシアニンの抑制効果Compound 48/80による皮膚炎症反応に対するフィコシアニンの抑制効果

⑬ 酢酸による大腸炎に対する抗炎症作用

-C.Romay et al.,1998,2000a,2000b

アラキドン酸によるラット耳浮腫炎症は、フィコシアニン20~200㎎/㎏の経口投与によって抑制された。その効果は、フィコシアニンの投与量に比例して増大した。同時に炎症惹起物質のロイコトリエン(LTB4)やプロスタグランジン(PGE2)産生も抑制された。

フィコシアニンは炎症惹起物質を合成する酵素であるシクロキシゲナーゼやリポキシゲナーゼ活性を阻害すると思われる。

    浮腫重量(mg) 阻害率[%]
アラキドン酸 0.5mg/耳 6.3±0.98
フィコシアニン 50mg/kg 3.3±0.59 47.61
フィコシアニン 100mg/㎏ 2.5±0.92 60.31
フィコシアニン 200㎎/㎏ 2.1±0.8 66.6
抗炎症薬剤
(インドメタシン)
1mg/耳 1.1±0.24 82.53

⑭ ラット大腸炎に対する抗炎症作用

-R,Gonzalez;et al.,Pharmacological Reserch,39(1999)55-59

酢酸をラットに与えると大腸炎を引き起こす。そこで、ラットにフィコシアニンを摂取させた後、酢酸を与えると大腸炎による炎症が抑制される。

MPO活性大腸炎を引き起こすと炎症に反応してMPO(Myeloperoxidase:食細胞に存在し、溶菌力に影響を及ぼす酵素)活性が高くなる。フィコシアニンを与えるとMPOの活性値が上がらずに、正常に近い値を維持した。

フィコシアニンの抗炎症効果フィコシアニンの抗炎症効果は、抗炎症薬として著名なアスピリンの類似薬5-Aminosalicylic acid(5-ASA)と比較してもほぼ同等の効果を示した。

⑮ アレルギー性炎症モデルラットへのフィコシアニンの効果

Remirez,D;Ledon,N;Gonzalez,R Mediators of Inflammation 11(2002)81-85

フィコシアニンによるアレルギー性炎症の抑制効果を調べた。

卵白アルブミンによりアレルギーをマウスの耳に発症させた後、フィコシアニンを経口で与えたところ、炎症状態が減少することが示された。

耳のアレルギー性鋭意省の抑制効果ステロイド系抗炎症剤 Triamcinolone をマウスに与えるとアレルギー性炎症は、大きく抑制される。(図、上側)同じくフィコシアニンを与えた場合、フィコシアニン濃度が高くなるほど、アレルギーが抑制された。
また別の実験においては、フィコシアニンを服用させた後、ヒスタミンをラットに注射し形成される青い斑点領域を減少させた。

⑯ マウスのザイモサン(酵母抽出物)発症関節炎に及ぼすスピルリナの抑制効果

- Remirez,Diadelis;Gonzalez,Ricardo;Merino elson;Rodriguez,Sandra;Ancheta,Odelsa Mediators of Inflammation 11(2002)75-79

ザイモサンは酵母細胞壁から抽出される多糖類で、マウスの関節に炎症を引き起こすことが知られている。

Grade 0 Grade 1 Grade 2 Grade 3 Grade 4 備考
Zymonsan 投与→無処置群 50% 50% 15mg/ml
→Triamcinolone処置群 90% 10% 10mg/kg
→Spirulina処置群 60% 40% 100mg/kg
→Spirulina処置群 80% 20% 400mg/kg

関節炎の悪化具合をGrade 0~Grade 4に分類し、Gradeが大きい程、症状が進行している。

ザイモンサンによって関節炎を起こした後、ステロイド系抗炎症剤Triamcinolone処置群、スピルリナ処置群、無処置群で関節炎の抑制効果を比較した。

マウスの体重1Kgあたり100gのスピルリナを与えると関節炎の状況がGrade 1の割合が60%、Grade 2の割合が40%となり、無処置群と比較して改善されていることが示された。さらにスピルリナの投与量をマウスの体重1Kgあたり100gから400gに増量すると、より一層改善されていることが示された。

この関節炎鎮静効果は、フィコシアニンの抗炎症作用と抗酸化作用によるものと考えられる。ザイモサンをマウスの関節に注射した後、スピルリナを与えることによって炎症は抑制される。


その他の臨床実験や動物実験で確認されたスピルリナの効用

1.  糖尿病

-埼玉医科大学 竹内瑞弥

かなり重症な糖尿病患者に対して食事制限と併行してスピルリナの投与を行って、30日後、60日後の血糖値(50gブドウ糖負荷血糖検査)で良好な成績を得ることができた。なおスピルリナは一回7錠とし、一日3回計21錠を服用することにした。

症例1
48才、男、飲酒の機会が多く、ウィスキー党のためほとんど副食を摂らないようであった。健康診断で発見され、その他の合併症は認められない。

症例2
55才、男、タクシー運転手で飲酒は全くしないが、かなりの甘党である。食事時間が不規則である、合併症である白内障が両眼におこってきた。

症例3
56才、男、7年前から高血圧症で、薬を服用しないと血圧は188-96mmHgになったことがある。利尿降圧剤で最高150以下にコントロールされている。自覚症状は全くない。

50gブドウ糖負荷血糖検査(mg/dl)

症例1 症例2 症例3
投与後 30日後 60日後 投与後 30日後 60日後 投与後 30日後 60日後
空腹時
(正常値100以下)
128 116 96 176 122 102 212 172 180
30分後 158 162 154 212 200 168 266 194 206
60分後
(正常値170以下)
206 168 160 238 236 170 354 226 198
90分後 172 130 122 196 174 136 360 202 180
120分後
(正常値120以下)
172 104 122 136 120 98 308 178 146

糖尿病治療の大原則は食事療法と運動療法であるが患者に理解はあっても中々円滑に実行されない。

その点ではスピルリナを服用すれば必要な栄養素を摂取することは誰にでも簡単にできるし、アルカリ食品であるため体内での栄養素の代謝は円滑となる。今回の症例によっても血糖曲線の改善はめざましく、比較的簡単に糖尿病が良くコントロールされたといえる。

2. 貧血

-埼玉医科大学 竹内瑞弥

低色素性貧血の9名に対してスピルリナを原則として一日20粒を毎食後に服用することにした。対象患者はヘモグロビン12g/dl、ヘマトクリット37%以下とした若い女性が圧倒的に多くなった。投与後15~30日後には低色素性貧血の全症例に効果を認めた。すなわち、現代の食生活ででは不足しがちな微量栄養素が完全に補給されるために、薬剤以上の効果が得られたものだと考えられる。

9症例の平均値

Hb: ヘモグロビン(g/dl) 正常値 14〜18 12〜16
R: 赤血球数(x10^6/mm^3) 440〜560万 380〜520万
Ht: ヘマトクリット(%) 40〜48 34〜42

3. 白内障

-東京医科歯科大学(講師)山崎義人

スピルリナを一日30~20粒の投与と同時に毎日の生活態度には十分なる指示を与え、紫外線カットの保護眼鏡を装用し、テレビは禁止、白内障の点眼薬、内服薬などを服用せしめ、計385例の老人性白内障に対し、90%にその進行を阻止、もしくは視力を向上することができた。

数例ではあるが糖尿病性網膜症あるいは腎炎性網膜症に対して、内服薬1~2種を混合服用させ、その上にスピルリナを飲ませることによりいずれも非常に素晴らしい効果をあげた。高血圧症、網膜血管硬化症の160例にも一日20~30粒を服用することにより経過を追ってみたが、同様すこぶる良好な結果を得た。

4. 胃腸障害(潰瘍)

-東日本学園大学 坂井病態研究所 坂井友吉

スピルリナ投与によって繰返し再発していた潰瘍が、4ヶ月後に至るも再発をみていないこと、また、或る症例は著効を得、中断によって再び疼痛が現れ、再投与によって疼痛が消失している。スピルリナは胃腸障害(潰瘍)患者に対する治療補助剤として、非常に優れた効果が認められ、更に予防効果も期待できる。社会的に一層ストレスの増大が予想され、更に食生活の偏りが一層強まり、拡大していく事の危惧される今日、健康維持、体力増強にスピルリナは大きく貢献するものと思う。

5. 臓炎に対する効果

-京都府立医科大学 田中実

治療法は食事療法が基本になる。脂肪や香辛料を制限し、消化が良くバランスのとれた適量をよく噛んで食べること。スピルリナは膵臓炎患者の摂るべき理想の食品で治療薬剤としての効果も持っている。

46歳男性
食後に吐き気、嘔吐、上腹部痛、下痢を頻発。食事療法とスピルリナ4.2g、消化酵素剤を併用し、2週間後下痢は軽減、アミラーゼ値は正常に戻り5週間後には吐き気、嘔吐は完全に消えた。

35歳男性
背中に痛みを覚え、アルコール、脂肪食を摂ると悪化し下痢を伴う。軽度の慢性膵臓炎。食事療法とスピルリナ4.2gで痛みは次第にとれ、3週間後には痛み、下痢は消失、8週間後には圧迫感も完全に消え体重も増加し完治。

6. 高血圧発症防止効果

-日本栄養食糧学会1984

自然発症高血圧ラットを用い通常食を摂取させ、飲料水として対照群には水道水を、実験群1には水道水に抽出物を50mg(体重100g当り)を加えた。実験群2には同様に100mgを投与した。

8週間飼育した結果、5週目以後において血圧の上昇抑制効果を示した。(P≦0.05)。
また、各群の初期値を100とした相対値では、1週目で既に効果が現れた。

mmHG

動物群 0週後 3週後 5週後 8週後
対照
相対値
86±8
100
160±4
186
188±3
219
193±2
224
実験1
相対値
96±3
100
159±3
166
169±3
176
173±2
180
実験2
相対値
100±4
100
158±3
158
170±3
170
172±7
172

7. 低濃度カリウムの減少が引き起こす大脳顆粒細胞アポトーシスのフィコシアニンによる保護

-Rimubau,V;Camins,A;Pubill,D;Sureda,F X;Romay,C;Gonzalez,R;Jimenez,A;Escudedo,E;Camarasa,J;Pallas,M
Naunyn-Schmiedeberg’s Archives of Pharmacology 364(2001)96-104

細胞のアポトーシスは細胞の自滅といえる現象です。ある細胞においては、カリウム/血清カリウムの減少からこの細胞死が引き起こされる。

スピルリナからの抽出物であるフィコシアニンを与えることでアポトーシスから細胞が保護されることが示された。

フィコシアニンによるアポトーシスからの保護

コントロールにおいては、カリウムが満たされた状況で、細胞のアポトーシスは殆ど発生しない。(グラフ左側)

これに対してカリウムが欠乏すると、アポトーシスを引き起こした細胞が増加する。(グラフ中央)

カリウムと血清が欠乏したところにフィコシアニンを与えると、アポトーシスを引き起こす細胞が少なく抑えられることが示された(グラフ右側)

その数はコントロールにおけるアポトーシス細胞数に近くなり、フィコシアニンにより細胞アポトーシスが保護されている。この効果はフィコシアニンのもつ抗酸化活性に基づいているものと考えられている。

8. スピルリナ・プラテンシス抽出物の各画分の抗酸化活性

-J.E.Pinero Estrada,P.Bermejo Bescos & A.M.Villar del Fresno Il Farmaco 56 (2001) 497-500

スピルリナの抽出物のなかで、フィコシアニンが抗酸化作用の中心であることが示された。

フィコシアニンが抗酸化活性をもつことを示すため、非動物試験において、スピルリナ抽出物のうち、フィコシアニン画分でのヒドロキシラジカル(「活性酸素と抗酸化物質」参照)の活性に対する細く能力(消去する力)を調べた。スピルリナ抽出物からフィコシアニンを精製し濃度を上げてゆくに従い、ラジカルを補足する能力が高くなることが確認された。

フィコシアニンのラジカル補足能

フィコシアニンは濃度が高くなるほど、ラジカルを消去し、生体物質が酸化を受けにくくすることを示している。


スピルリナ抽出物の抗酸化活性について

Takashi Hirata,Mikiya Tanaka,Masaki Ooike,Teppei Tsunomura & Morihiko Sakaguchi
Journal of Applied Phycology 12(2000)435-439,2000

スピルリナ抽出物について、生物の最小単位といえる細胞モデル中のリポソームとおける酸化防止効果を調べた。

リソポームは生体膜の主成分であるリン脂質が、自己集合してできる二重層膜kの小胞であり、リノール酸は細胞膜を構成する一成分として存在する。

リノール酸の酸化

抗酸化成分を加えない場合、物質を酸化させるラジカル(「活性酸素と抗酸化物質」参照)によりリポソームを構成していたリノール酸が時間とともに酸化される。

これに対して、スピルリナ抽出物を与えた場合、リポソーム構成分子はラジカルによる酸化が阻害され、スピルリナ抽出物が抗酸化作用を持つことを示された。

また、乾燥したスピルリナと新鮮なスピルリナから得られるフィコシアニンの抗酸化活性に差があるか確認したところ、両者から得られたフィコシアニンの抗酸化能に大きな差は見られなかった。

このことは通常販売されているスピルリナにおいてもフィコシアニンの抗酸化作用が保たれていることを示している。

フィコシアニンの抗酸化効果


スピルリナ抽出物によるHIV-I型の増殖阻害

Ayehunie,S;Belay,A;Baba T W;Ruprecht,R M
Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology 18(1998)7-12

HIV(Human Immunodeficiency Virus:人免疫不全ウイルス)は人体の防御機構である免疫において、その免疫の指揮官といえる細胞に寄生し、繁殖する(いわゆるAIDS(エイズ)ウイルスといわれているもの)ため、人間の免疫機構が不全になる。

スピルリナ抽出物がこれらのウイルス増殖阻害効果を持つか否かを試験した。

フィコシアニンの抗酸化効果

スピルリナ抽出物を与えない場合のウイルスの増殖数を1とした場合、スピルリナ抽出物を与えたものにおいては、ウイルスの増殖数が無添加の場合の半分になった。

スピルリナ抽出物を与えることによりウイルスの増殖が抑えられることが示された。

また、スピルリナ抽出物を与えることでウイルスの感染力が弱くなり、ウイルスが感染しにくくなることが示された。

ヒトNK細胞活性を中心とする自然免疫の賦活

T.Hirahashi et al.,2002

スピルリナ熱水抽出物水溶液を毎日50ml、2~3ヶ月間飲用することによって健常人血中Nk細胞のIL-12-IL-18刺激インターフェロンγ(IFNγ)産生は促進された。

スピルリナ抽出物の服用を2ヶ月、3ヶ月間継続すると、スピルリナ服用前と比較して、免疫機能が高くなっている。

スピルリナ抽出物のHIV-I型の増殖阻害

このNK細胞活性はBCG細胞壁成分(BCG-CWS)により促進されることから、NK細胞膜IL-12レセプターあるいはIL-18レセプターの関与が考えられる。

スピルリナは、NK細胞におけるIL-12/IL-18レセプター数を増加させるよりむしろ、その構築あるいは会合にはたらきかけて賦活作用を示すことが示唆された。

藻類の血糖値降下作用と腸内細菌叢の変化

木下良作、平岡雅規、田口尚弘、富永麻理、富永明(高知大院・総合人間自然科学、高知大総合研究センター・海洋生物研究教育施設、高知学園短期大学・医療衛生)

【目的】
腸内環境は栄養と免疫の観点から重要である。藻類はその成分で腸内環境を変化させ、栄養や免疫応答の調節に寄与していると考えられる。本研究では藻類を経口投与することにより血糖を制御する種を詮索し、その作用を調べるため、腸内細菌叢の変化を検討した。

【方法】
インスリンの非依存型のレプチン受容体欠損 db/db マウス(15週齢雌)に糸状性藍藻、スピルリナ(Spirulina pacifica、Cyanotech・東洋酵素化学供与)の懸濁液(蒸留中で80℃、1時間処理)およびスピルリナの熱水抽出物を一日おきに経口投与(10mg/day)した。血糖測定値は眼窩静脈叢から採血後3分以内に、ロッシュ・ダイアグノスティックス社のAccu-Chekで行った。腸内細菌叢変化はBacteroidesグループとLactobacillusグループの菌数をrRNAプローブを用いて測定することによった。

【結果】
藻類投与前、db/dbマウスの血糖値は平均456mg/dLであった。1ヵ月後の血糖値(mg/dL)は、対照群:565、スピルリナ群:521
スピルリナ熱水抽出物:469、ホソエダアオノリ群:487、クロメ配偶体:438、糸状性藍藻:492であった。クロメ投与群ではBacteroidesグループが約1.3倍、Lactobacillusグループが約1.6倍となっていた。他の群では、顕著な増加は認められなかった。

【考察】
クロメ配偶体投与群の血糖値減少は腸管からの何らかの刺激によるものと考えられるが、それが腸内細菌層の変化とどのような関連があるか現在検討している。