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スピルリナの機能の原点を解く

東洋酵素化学 株式会社
学術調査 室
女子栄養大学名誉教授
薬学博士 医学博 士
林 修
スピルリナは、こんにちまで実に多くの研究論文が発表されてきた。すなわち、多くの研究者たちがスピルリナに関わってきたのである。
研究者たちは自然界の特異な生物におのずと興味を抱いたからにほかならない。

スピルリナは、およそ 35 億年前に地球上に最初に発生した生命細胞・藍藻類の仲間である。分類学上、シアノバクテリア藍色細菌とされている。
生物形態は個々の単細胞が規則性をもってラセン状に整列した群生体を造って生命を営んでいる。
ラセンは、DNA や宇宙の銀河系もそうであるように自然界に広く見受けられる。スピルリナも生誕時に宇宙の摂理に従って生命の営みを始めたのであろう。
細胞集合体は
①完全食とも言えるブロードな栄養スペクトラムを持つこと(残念ながらビタミン C を自己合成しない。生命初期にはビタミン C は生活細胞に必須でなかったのであろう)
②フィコシアニンと呼ばれる独特の機能性青色成分(光合成青色色素)を含むこと
③デトックス効果が多編報告されていること
(有用成分の取り込みと有害成分の排出が同時に進行するわけである)
など、唯一無二の天然食材は、メジャーな一般紙(朝日新聞 2015.11.7、毎日新聞 2015.12.13)でも“スーパーフードの代表格”と紹介されている。その所以はこの特異性にある。
スピルリナの健康に関与する機能研究は多岐にわたり発表されているが、スピルリナを理解するとき、確認された多くの報告の中から特定の機能を取り上げるべきでなく、見方を変えた方がスピルリナの本質が浮き出てくる。
生体は本来、恒常性(今日も明日も健康な範囲で同じ状態を保とうとするはたらき)を維持する仕組みをそなえている。しかし、時として外敵(病原性細菌、ウィルス、化学物質など)にさらされる場合があり、また、体内では何かの原因で炎症が発生する。しかし、生体はまた自ら元に戻ろうとする修復機能も備えている。それにより、健康が継続する。論文発表されたスピルリナの身体に与える多岐の生理機能、それに加えブロードな栄養スペクトラムは、真に“本来の恒常性”の増進によい影響を与え、「全体の組織バランスが保たれた身体(からだ)の基礎作り」に優位に働くであろう。スピルリナの健康機能はその一点を捉えるべきである。
言い換えれば、スピルリナは健康を維持改善する恒常性又は修復作用のサポート、さらには、作用発現のプロモーターとなり、本来の健康力の底上げに働くであろう。
多岐にわたる研究報告はその裏付けとなる資料と解くことができる。
(完)